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鉄道車両の製造においてチームで鉄道車両の設計・開発を行う。 鉄道車両を製造する場合、主に鉄道事業者が行う概念設計(どのような車両にするか検討)、基本設計(デザイン、車両に求められる性能、安全性や快適性、構造、強度、空力、走行性能等を検討)、詳細設計(基本設計に基づいて製造設計図面を作成)、試作、試験、工場での製造という流れになるが、この中で鉄道車両の設計・開発の技術者は、基本設計、詳細設計を数名~数十名のチームで担当する。なお、チームによっては試作及び試験も担当することもある。概念設計段階で鉄道事業社に技術的な提案を行うこともある。新型車両のイメージ、デザインはデザイン会社が担当することもある。鉄道車両の工場での製造に向けて設備・機械・工具等の準備について、製造や生産技術の部門と検討や調整も行う。製造後の車両の不具合に対応することもある。新たな構造や技術を取り入れた車両を設計・開発する場合は、試作、試験までを繰り返し、設計・開発に何年もかかる。なお、鉄道車両の設計・開発においては鉄道事業社が深く関わる。鉄道事業社が路線、橋梁、トンネル、信号、ホーム、駅舎等を所有し、実際の運行を担うため、これらに最適化された設計・開発が行われる。 鉄道車両の設計・開発の技術はすぐに習得できるものではないため、設計・開発をしながら、若手や後輩を計画的に育成する。また、鉄道車両の設計・開発は複数の案件が並行していることが多い。例えば、ある車両の基本設計を行いながら、別の車両の試作、試験を繰り返すということがある。 鉄道車両の設計は大きくは台車(車輪のある足回り部分)、車体(台車に載せるボディー部分や客席、内装、空調、照明など)、ぎ装(パンタグラフや床下機器などの配置、運転室など)、電気システム(通信、デジタル機器、ワイヤーハーネス/ケーブル類)に分けられるが、これらのいずれかを担当する。照明、客席、調度品などは他社が設計、製造するなどサプライヤーとの共同開発も多い。関連する仕事として、鉄道の運行システムの開発があるが、これは別の技術者が担当する。最近、列車の自動運転が注目されているが、これには電機メーカーも含めた運行システムの開発者が大きな役割を果たす。 設計・開発は様々な観点から行わなくてはならないため、チームで設計・開発にあたるが、幅広い関係者が集まり検討を行ったり、上司やベテラン、社内外の詳しい人に意見を聞くことも多い。鉄道車両の設計・開発は得意な技術を持ち寄り、何社かの鉄道車両製造会社が協力して行うこともある。車両を構成する装置や部品の開発を担当する会社(サプライヤー)まで含めると数十社が関係している。 設計には2D/3D CAD等を用いる。強度、空力、振動、騒音等はシミュレーションを行うソフトウェアも用いられる。多くの関係者との共同作業であるため、情報共有やスケジュール管理にコラボレーション・ツールも利用される。コロナ禍以降、リモートでの打合せや会議も多くなっている。 鉄道車両の設計・開発においては、国内であれば鉄道事業法などの法律やJISなど国の規格、輸出する場合は輸出先各国の法律や規格に沿って設計・開発する。 鉄道車両の設計・開発は、安全を第一として、強度を確保した上での軽量化、騒音や振動の低減、乗客の快適さ、製造段階での作業のし易さ、メンテナンス性や耐久性、また、多数の装置を適切に組み合わせること、等々、非常に多くの検討をしなくてはならない要素がある高度な技術である。新型車両は試作、試験を繰り返し、設計を何度も見直すこともある。このように難しい作業であるが、チームで開発にあたり、それぞれの段階で前進があったときに達成感がある。新型の新幹線、新型特急等は世間の注目が集まり、自分のチームが設計・開発した車両が出来上がり、運行しているのを見ると大きなやりがいを感じられる。 ◇よく使う道具、機材、情報技術等 パソコン、設計ソフトウェア(2D/3D CAD)、シミュレーション・ソフトウェア(強度、空力、振動、騒音等)、コラボレーション・ツール(情報共有、文書管理、スケジュール管理、ビデオ会議等)、ヘルメット・保護メガネ(製造等現場に行くとき)
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※実施順は、必ずしもこの順番どおりにタスクが実施されているとは限りません。職業によって、より一般的なタスクから並べたり、同時並行で実施するタスクを便宜的に並べたりしている場合があります。
新卒採用では大学・大学院で機械工学、電気・電子工学を学んできた者が多い。高専の機械、電気等の出身者もいる。多くが新卒採用であり、インターン、エントリーシート、会社説明会、入社試験、採用面接というルート(自由応募)と、学校推薦でのルートがある。高専では学校推薦が多い。また、新規の開発案件や今後の経営戦略として人材が必要な時には中途採用も行われ、自社ホームページに採用情報を出し、転職エージェントも利用される。 鉄道車両の設計・開発は新卒採用ですぐにできる仕事ではなく、先輩社員のフォローのもと経験を積み、何年もかけて設計・開発ができるようになる。新人は先輩社員と一緒に設計・開発のプロジェクトに参加し、経験を積んでいく。このため新卒採用、長期育成が主流となっているが、最近では中途採用も多くなっている。 就職の段階で必要な免許・資格は特にない。関連資格として財団法人鉄道総合研究所の鉄道設計技士(鉄道土木/鉄道電気/鉄道車両)があり、受注において有利になったり、自分の技術レベルの証明になることはある。 新卒採用の場合、最初、社会人としての基礎というような研修を受け、その後、数か月、車両製造の生産現場で様々な経験をし、その後、設計・開発の部門に配属される。また、会社によっては最初の2、3年は製造現場に配属され、その後、設計・開発の部門に異動するところもある。設計・開発をしながら様々な技術研修を必要に応じて受講する。年次ごとの研修、管理職になるとき等キャリアに応じた研修もある。 台車、車体、ぎ装、電気システムのいずれかに配属されると、その後、この間で異動することはあまりなく、例えば、車体の担当として様々な車体を設計・開発し、技術の幅を広げ、高めていく。会社により呼び方は異なるが、主査/技師(係長級)→主任技師(課長級)→リーダー、グループ長等となっていく。管理職になるために台車、車体、ぎ装、電気システムを超えて、幅広く設計・開発を経験することもある。 大学や高専で学ぶ、機械工学、電子・電気工学等が基礎として重要であり、また仕事をしながら技術を高めていく。複雑な要素を緻密に検討できることが求められ、幅広い知識や経験が必要である。先に述べたように設計・開発には何社も関係し、多くの関係者がおり、チームで行うことから、チームワークが重要となる。
関連資格
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日本国内には鉄道車両を製造する大手が5社あり、このような会社に技術系として入り、鉄道車両の設計・開発の担当となる。この大手5社にはそれぞれに数百名、鉄道車両の設計・開発の技術者がいる。車両の工場と設計・開発のオフィスが敷地内という会社もあるが、設計・開発は大都市周辺の本社、工場は地方ということもある。この場合、必要に応じて工場に出張する。 大手5社はいずれも設計・開発は男性が9割程度となっている。年齢層としては中高年から若手まで幅広いが、若年採用に力を入れている会社が多い。大半が正社員であり、給与は月給制である。共同で開発する電機メーカーや鉄道事業社から来て、一緒に設計・開発を行う場合もあるが、この場合も所属会社の正社員である。技術者派遣として派遣会社社員もいるが多くはない。 通常は平日の日勤であり、土日祝日が休みとなる。フレックスタイムや裁量労働制が導入されている会社が多い。コロナ禍以降、リモートでの勤務も取り入れられている。 鉄道は社会のインフラであり、国内だけでも安定した需要がある。列車の耐久年数が20~30年であることから、常に次の車両の設計・開発が進められている。脱炭素の世界的な流れの中で、鉄道は注目されており、コロナ禍で列車開発もやや絞られたが、その反動でこれから設計・開発が多くなるとも考えられている。 世界的にはドイツ、フランス、カナダに有力な鉄道製造会社があり、中国も台頭している。このような中、日本の鉄道車両が欧米や東南アジアに輸出され、運行システムまで含めたインフラとして受注している例もある。
鉄道車両の設計・開発が属する主な職業分類(厚生労働省編職業分類の「輸送用機器開発技術者(自動車を除く)」等)に対応する統計情報です。
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ハローワーク求人統計データ
求人賃金(月額)
(令和5年度)
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月別求人賃金 ※全国のみ
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