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建物の耐震性能を診断し、必要に応じて地震に備えた補強や改修計画を提案する。主に1981年6月以前の旧耐震基準で建てられた学校、工場、倉庫、商業ビル、公共施設等の大型の建物や、個人商店などの店舗、住宅等の家屋の耐震性能の診断を行う。 建築物は構造上、RC造(鉄筋コンクリート造)、鉄骨造、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)、木造の4種類に大きく分けられるが、耐震診断の方法は非木造の建物と木造の建物では大きく異なる。ここでは旧耐震基準の建物が多く残っている木造建築に関する耐震診断について記述する。 木造建築の耐震診断は市町村などの自治体が推奨しており、個人住宅の耐震診断は自治体からの紹介で依頼を受けることが多い。依頼を受けると、まずは依頼主と面談し、調査日を決める。その際に調査の内容や住宅の全居室、トイレ、浴室、押し入れなどを含め、住居のすべてを見せてもらうことを説明し、理解を求める。また、事前調査として対象建物の築年数、設計図、増改築の有無、劣化や不具合が見られる箇所、浸水被害等の情報を集める。その後、現地調査となるが、木造建築の耐震診断には一般診断法と精密診断法がある。一般的には非破壊調査で、費用も抑えられ、一定精度の診断が可能な一般診断法が推奨されている。 一般診断法による調査の場合、現地調査は数人がかりで半日程度かけて行われる。建物内については、まず建物の図面と現状の間取りや構造が一致しているかを確認し、現地調査票に現時点での正確な間取り、柱や窓の位置などや構造を記入し、図面を作る。また、各部屋の4面や劣化箇所などの写真を撮る。壁の強度の調査としては、壁の材質のほか、筋かい(建物に対して斜めに入れて支える木材)が図面通りに入っているかを確認する。その際、小屋裏(建物の屋根の内側)や天井裏まで筋かいの位置を調べたり、床下から建物の土台部分を観察し、筋かいの位置が適切か確認するなど調査する。あわせて梁、柱、筋かいを固定するための金物の劣化状態や接合部の不具合、施工状態についても確認する。また、水回りや床下などの水漏れや結露の可能性が多い箇所は、木材が腐ったり白蟻の被害を受けやすいため、木材がどの程度水を含んでいるか、目安となる含水率を調べる。屋外の調査では外壁や基礎の部分の材質、ひび割れ、劣化等による損傷のほか、屋根の材質、構造、劣化、雨漏りの有無についても調査する。 現地調査終了後、確認箇所の記録や写真を事業所に持ち帰り、写真にメモをつけてまとめるなど、依頼主に結果をわかりやすく提示するための資料整理を行う。同時に、収集した調査データに基づいて耐震性の総合評価点を算出する。この計算は、従来は手計算によって行われていたが、近年はパソコンで計算できる各種ソフトが開発されており、データを入力すると評価点が算出される。総合評価は4段階で、1.5以上(倒壊しない)、1.0以上~1.5未満(一応倒壊しない)、0.7~1.0未満(倒壊する可能性がある)、0.7未満(倒壊する可能性が高い)となっている。耐震診断においては、最終的にはこの総合評価を含む耐震診断結果の報告書作成までが一連の作業となる。なお、総合評価点において「倒壊する可能性がある」もしくは「倒壊する可能性が高い」という診断となった場合は、耐震補強が必要という判定となるため、依頼主が耐震補強工事を希望する場合を想定し、耐震診断の調査結果から補強すべき箇所、方法等に関する提案を作成する。 耐震診断のうち特に木造家屋については、耐震強度が不足している場合、大地震の際に崩壊する危険性が高く、人の命に係わる重大な責任が伴う。調査結果のとりまとめに関しては自分の判断となるため、これで本当に大丈夫なのかと、考え込んだり悩むことも多い。また、現地調査では古い家屋の小屋裏、天井裏や床下にも立ち入ることがあり、埃や土砂まみれになったり、虫が多かったりと大変な部分もある。反面、耐震診断の結果をみて依頼主が耐震補強の必要性を理解し、補強工事を決意してくれたり、工事を済ませた依頼主から、これから安心して住み続けられる、という感謝の言葉を聞くと大きなやりがいや喜びを感じる。 <就業希望者へのメッセージ> 住宅は、住む人にとって人生そのものです。人の命を守る・育てるスペースであり拠点です。人の思いを背負って携わることができるやりがいのある仕事です。(就業者 60代) 特に高齢者が一人で住む木造住宅の耐震診断は遅れがちです。耐震性を上げる政策がいろいろと講じられる中で、耐震診断に関心を持つ人材が業界に増えていくと良いと思います。(就業者 60代) ◇よく使う道具、機材、情報技術等 作業着(軍手、ヘルメット等は必要に応じて)、記録用機器(現地調査票、デジタルカメラ、筆記用具)、調査用機器(下げ振り、水平機レーザーレベル、鉄筋探知機、含水率計、クラックスケール、打診棒、コンクリートテストハンマー)、脚立、パソコン、耐震診断計算ソフト
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タスク(職業に含まれるこまかな仕事)
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耐震診断の仕事を行うための必須の資格はないが、多くは大学等の工学部で建築学を専門的に学び、建築士の資格を取得後、建築設計事務所、建設会社、ハウスメーカー、工務店に就職して耐震診断の方法と技術を習得するという道筋が一般的である。もしくは工業系の高等学校を卒業後、建築設計事務所等に就職し、仕事をしながら建築士の資格を取り、耐震診断の調査方法を習得する場合もある。どちらの場合も、就業後すぐに耐震診断を任されることはなく、通常は事業所での実務経験を積みながら、事業所が請け負った耐震診断の仕事に参加しながら現地での調査方法や作業を習得していくことになる。最初から耐震診断を目指して建設関係の業界に入職するというケースは少なく、現場での実務経験を積む中で耐震診断の重要性を認識したり、業務上の必要性に迫られて勉強を始めるというケースの方が多い。 なお、国によって認定された耐震診断の講習としては、国土交通大臣登録「耐震診断資格者講習(主催:一般財団法人日本建築防災協会)」があり、建物の構造別の耐震診断資格者講習が用意されている。受講資格は一級または二級建築士の資格を有すること、木造の耐震診断の場合は木造建築士の資格を有することである。このほか、各自治体等が行う耐震診断の技術者向けの講習会もある。木造住宅等の所有者が各自治体に耐震補強の工事のための助成金の申請をするときには、これらの講習会を受講して資格をもっている技術者に耐震診断をしてもらうことが助成金給付の条件となっている。 耐震診断の仕事に必要な特性としては、地震に対する建物の強度や耐震性に関する専門的な知識や関心を有することが重要である。また、耐震診断の判断を正確に行うためには、綿密な現地調査によって、現況を正しく反映させた数値を収集することが必須である。そのため、必要な確認個所に対して正確で丁寧に調査する根気強さや責任感が求められる。高所や屋外での作業も多く、一定の運動能力や体力も必要である。依頼主の居宅に立ち入っての作業となるため、依頼主の要望を聞きとり、不明点を確認し、状況を適切に説明できるコミュニケーション能力も求められる。
この職業で実際に働いている人が多いと感じる『学歴』を表しています。必須とは限りませんので、詳細は「就業するには」を確認してください。
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耐震診断の技術者は、建築関係の事業所(建築設計事務所、建設会社、ハウスメーカー、工務店等)に所属し、耐震診断のほか様々な業務を行っている。就業条件は事業所によって異なるが、依頼主の都合に合わせた日程調整の結果、土日や夜間に作業や打合せになることもある。就業者のうち現時点では男性が多いが、木造の耐震診断の場合、依頼主の居宅内に立ち入る作業であるため女性の技術者の増加も望まれる。自治体による耐震診断や耐震補強の支援が推進されていることを背景に、旧耐震基準で建てられた木造建築物の耐震診断や補強も少しずつ進んでいるが、個人住宅の改修は住民の高齢化や改修費用の点で補強工事まで進まない場合も多く、その点は大きな課題である。このほか近年は木造建築物の登録有形文化財が観光資源として活用されているが、多くの人が立ち入る建物の安全性を保証し維持するためには、耐震診断およびそれに伴う耐震補強の仕事が重要な役割を担っている。
耐震診断が属する主な職業分類(厚生労働省編職業分類の「建築技術者(設計・施工管理を除く)」等)に対応する統計情報です。
※「統計データ」は、必ずしもその職業のみの統計データを表しているものではありません。各統計データで使用されている職業分類の詳細については職業分類対応表をご覧ください。
※各統計データに関する留意事項についてはこちらをご覧ください。
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就業者統計データ
就業者数
(出典:令和2年国勢調査の結果を加工して作成)
労働時間
(出典:令和6年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
賃金(年収)
(出典:令和6年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
年齢
(出典:令和6年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
賃金(1時間当たり)※全国のみ
(出典:令和6年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
賃金分布(グラフ)※全国のみ
(出典:令和6年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
ハローワーク求人統計データ
求人賃金(月額)※()は対前年度差
(令和6年度)
有効求人倍率
(令和6年度)
月別求人賃金 ※全国のみ
| 令和7年 1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
|
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 求人賃金 (万円) |
30.8 | 30.6 | 31.0 | 29.9 | 31.2 | 31.1 | 30.7 | 30.4 | 32.2 | 30.8 | 30.7 | 31.6 |
| 前年 同月差 |
0.5 | 0.8 | 0.7 | -0.3 | 0.9 | 0.2 | 0.4 | -0.4 | 1.7 | -0.5 | 0.0 | 1.0 |
| 年 | 月 |
求人賃金
(万円) |
前年同月差 |
|---|---|---|---|
| 令和7年 | 12月 | 31.6 | 1.0 |
| 11月 | 30.7 | 0.0 | |
| 10月 | 30.8 | -0.5 | |
| 9月 | 32.2 | 1.7 | |
| 8月 | 30.4 | -0.4 | |
| 7月 | 30.7 | 0.4 | |
| 6月 | 31.1 | 0.2 | |
| 5月 | 31.2 | 0.9 | |
| 4月 | 29.9 | -0.3 | |
| 3月 | 31.0 | 0.7 | |
| 2月 | 30.6 | 0.8 | |
| 1月 | 30.8 | 0.5 |
この職業で実際に働いている人が多いと感じる『就業形態』を表しています。
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耐震診断が属する産業(建設業、学術研究、専門・技術サービス業)の産業別景況動向をグラフで見ることができます。(産業全体の景況動向はこちら)
グラフの数値が大きいほど、労働者が不足と判断している。
法人企業景気予測 (出典:令和7年 内閣府・財務省「法人企業景気予測調査(BSI)」)
グラフの数値が大きいほど、景気が上昇と予測している。
残業時間(時間外労働時間)や有給休暇取得率、平均年齢など、企業の様々な職場情報を検索・比較したい方はこちら(クリックすると別サイトのしょくばらぼへ移り、 耐震診断が属する産業(建設業、学術研究、専門・技術サービス業)で検索ができます)
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