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医療機器メーカーで、医療現場で使用する医療機器の研究開発・設計を行う。 医療機器には、メスや注射器などの小物から、心臓ペースメーカーやMRI、レントゲン装置などの大型のものまで、医療現場で用いられるさまざま製品が含まれる。ここでは主に、例えば内視鏡のような使用における安全上のリスクが比較的高い医療機器の開発を中心に説明する。 医療機器開発技術者は、製品の構想・設計から製造まで、チームを組んで業務を行う。医療機器の開発・設計業務には、概念設計・基本設計・詳細設計・生産設計という4つの工程がある。 概念設計では、社内の企画担当者や医療従事者等の顧客からの要望などを踏まえて製品コンセプトを策定し、製品概要やコスト計算も踏まえ、開発の大枠をまとめる。基本設計では、概念設計に沿って、CADソフト等を使用して設計図を描き、CAE等の解析ツールを使って強度などを確認する。詳細設計では、プロトタイプを作製して、動作確認、安全性や使い勝手など多岐にわたる検証を複数回にわたって行い、材質加工や組立の工程に至るまで詳細に記述した設計図面を作成する。生産設計では、部品の共通化や削減、組立工数の短縮を追求して、性能とコストを両立させて、量産が可能な設計に仕上げる。その際、製造ライン側では、製造技術者が中心となり、開発技術者により設計された製品の品質を維持しつつ、原価が成り立つよう生産設備および組み立て工法を確立し、量産メリットがある状態に仕上げていく。 医療機器は人の命に関わる機器であるため、医薬品医療機器等法をはじめとする法規制が厳しく、開発期間も他の機器と比べると長期間にわたる。また、新しい医療機器の開発だけでなく、既存の医療機器の改良開発を行うことも多い。クオリティマネジメントシステム(QMS)に則って医療機器を開発・設計する必要があるため、各工程における開発記録や設計変更等の管理を厳密に行う必要がある。設計を進めていく段階で、医師等とやりとりをしながら設計の見直しや改良をしていくことが多い。プロトタイプによる安全性や有効性の検証を医療現場において行うこともある。また、法律の専門部署と連携をしながら、特許申請書の作成や、医療機器の販売承認を得るための承認申請書の作成なども行う。医学関連の学会に参加し、研究発表をすることや、医師等に対し自社が開発した医療機器の実演をすることもある。 開発プロセスが厳格で、責任やプレッシャーも大きいが、日々進歩する医療機器開発の技術を通じて、医療従事者を支え、患者の命を救うことに貢献できるため、大きなやりがいを感じることができる。 ◇ よく使う道具、機材、情報技術等 CADソフト、CAEソフト、パソコン
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タスク(職業に含まれるこまかな仕事)
仕事の内容
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入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされないが、新規学卒者の場合、工学系・理学系を履修した大卒者や大学院卒者が多い。中途採用の場合は、実務経験が評価され、他業種からの転職もみられる。 入職後は、社内で法規制や設計等に関する研修を受けた後に、OJTを通じて仕事に必要な専門知識を学んでいく。初めの1年~2年程度は、先輩について、図面の修正や部品の手直し、技術資料の修正といった補助業務を行いながら、設計担当者としてキャリアを積んでいく。昇進を経てチームリーダーになり、その後、管理職になる場合もある。 医療機器開発に必要な専門的知識は、基本的には入社後に身につけていくが、図面を読む、書くなどの基本的な知識があると望ましい。開発の過程で問題が発生することも多いため、粘り強くチャレンジし続ける姿勢が必要である。また、企業内の様々な関係部署と調整する必要があるため、コミュニケーション能力も重要である。企業内あるいは顧客に対し医療機器についての説明をする機会も多いので、プレゼンテーション能力も必要となる。海外の顧客とやりとりをする機会もあるので、英語力もあると望ましい。
関連資格
関連する資格はありません
この職業で実際に働いている人が多いと感じる『学歴』を表しています。必須とは限りませんので、詳細は「就業するには」を確認してください。
勤務先は医療機器メーカーで、研究開発拠点は郊外にある場合が多い。 男女比率は企業や部署によるが、男性の割合が多い。雇用形態は、正社員が多いが、一部の工程や特定の業務を専門的に担当する派遣社員もいる。 賃金、労働時間等労働条件は勤務先の規定による。賃金は月給制で、労働時間はフレックスタイム制、完全週休二日制が採用されている場合が多い。開発の納期が近くなると残業が多くなることもある。 医療機器業界は、病気やけがなどによる一定の需要が常にあるため、景気の変動に左右されにくい堅調な業界である。高品質で安全性の高い日本の医療機器は海外でも評価されており、海外の顧客と取引を行う医療機器メーカーも増えてきている。また、医療機器に関する国内外の法規制がより厳しくなってきているため、そうした新しい法規制に対応した開発プロセスが求められている。
医療機器開発技術者が属する主な職業分類(厚生労働省編職業分類の「電気・電子・電気通信開発技術者(通信ネットワークを除く)」等)に対応する統計情報です。
※「統計データ」は、必ずしもその職業のみの統計データを表しているものではありません。各統計データで使用されている職業分類の詳細については職業分類対応表をご覧ください。
※各統計データに関する留意事項についてはこちらをご覧ください。
※関連団体等が別途就業者数等を公表している場合は「労働条件の特徴」本文中に記載されていることがあります。
就業者統計データ
就業者数
(出典:令和2年国勢調査の結果を加工して作成)
労働時間
(出典:令和5年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
賃金(年収)
(出典:令和5年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
年齢
(出典:令和5年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
賃金分布(グラフ)※全国のみ
(出典:令和5年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
ハローワーク求人統計データ
求人賃金(月額)
(令和5年度)
有効求人倍率
(令和5年度)
この職業で実際に働いている人が多いと感じる『就業形態』を表しています。
医療機器開発技術者が属する産業(製造業)の産業別景況動向をグラフで見ることができます。(産業全体の景況動向はこちら)
グラフの数値が大きいほど、労働者が不足と判断している。
法人企業景気予測 (出典:令和6年 内閣府・財務省「法人企業景気予測調査(BSI)」)
グラフの数値が大きいほど、景気が上昇と予測している。
残業時間(時間外労働時間)や有給休暇取得率、平均年齢など、企業の様々な職場情報を検索・比較したい方はこちら(クリックすると別サイトのしょくばらぼへ移り、 医療機器開発技術者が属する産業(製造業)で検索ができます)