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タンクローリーに乗務し、ガソリン等液体・高圧ガスなどを移送する。 タンクローリーは、重心を低くするために、荷台の形が楕円形をしており、危険物を移送する車は「危」、毒物・劇物を移送する車は「毒」、高圧ガスを移送する車は「高圧ガス」の標識を車の前後に掲示しなければならない。 なお、ガソリン等の引火性液体危険物の移送を行うタンクローリーのほか、飲料水、牛乳、シロップ等飲料品を運ぶ給水車、小麦粉や肥料、砂糖などの粉粒体を運ぶバルク車等もタンクローリーに含まれる。 以下は、ガソリン等の引火性液体危険物の移送を行うタンクローリー乗務員の業務を中心に述べる。 乗務員は出社して車両の運行前点検・アルコール呼気や健康状態等のチェック、配車内容、配送先、道路状況等の注意点・連絡事項等運行管理者からの点呼・伝達を受けた後、危険物取扱者免状又は高圧ガス移動監視者講習修了証、防護服、保護具や消化器等携行品の確認、イエローカード(事故発生時にドライバーが取るべき応急措置、災害拡大防止措置等を記載した黄色い書面)の設置及び安全運行のため車両の始業前点検を行い、車両に乗り込み運転を始める。 液体・高圧ガスなどの場合、荷積み(発荷主)は、製油所、油槽所等の供給拠点であるが、ここで積み込んだ後、ガソリンスタンド(給油所)、工場、運送会社、航空会社施設等に配送する。1回の荷積みで1~3件配送し、1日で2~4回繰り返す。工場を中心に回るもの、ガソリンスタンドを中心に回るもの等様々な形態がある。運転距離は中・短距離が多い。 積み込みは、製油所等に到着してから勤務先からのオーダーを確認して製油所等の電子機器に油種・数量等を登録後、積み込みレーン(ベイ)にタンクローリーを移動させる。アースを取付ける等火災防止措置を取り、タンクローリーの各ハッチ(通常5個~8個ある。)の上部の蓋を解放し、出荷基地のアームを挿入し、ICカード等でベイの電子機器を操作して、ハッチの蓋を開けて爆発防止のために気体を回収した後、積込みを開始する。最近ではタンクローリーのハイテク化が進んでいて、各ハッチに積み込む油種(ガソリン、灯油等)、数量(ハッチ割)を電子機器に記憶させるシステムとなっており、手順を遵守すれば積み込む油種や数量を誤ることは無い。積込み作業が終了したら、ハッチの蓋のハンドル閉鎖やアームの所定位置への収納等を確認してガソリンスタンド等配送先へ出発する。 ガソリンスタンド等配送先に到着し、入場する前に、営業を妨げない安全な入場ルートを確認しておき、ガソリンスタンド等立ち会い者の誘導に従い所定の位置に停車し車止めを置く。 次に、納品書(荷卸し確認チェックリスト)で、納入先や油種と数量をガソリンスタンド等立ち会い者とタンクローリー乗務員相互で確認する。 ガソリンスタンド等における荷卸し時におけるコンタミ(混油)事故やオーバーフロー(漏油)事故等防止について消防法に基づく立会義務があり、ガソリンスタンド等立ち会い者とタンクローリー乗務員の相互協力、相互確認が安全対策の基本となる。 そして、アースの接続、消火器の配置等準備を行った後、ハッチ積荷と地下タンク在庫の油種・数量と荷卸し数量を相互に確認し、荷卸しの油種の順序(原則、灯油、レギュラー、ハイオク、軽油の順番)を決定する。その後、配送先のタンクとタンクローリーのハッチをホースで繋いでコックを開ける。その際、注油口のタンク番号、油種、ホースの結合状態をよく確認することが重要である。荷卸し時に、ガソリンスタンド等側にある油種を識別する油種キーを接続することでガソリンスタンド等側の油種と荷卸ししようとしているハッチの油種が一致しないと各ハッチに付いているバルブが開かないよう混油事故を防止している場合もある。ただし、同一の油種を複数のタンクに分納する場合は注意が必要で、数量の振り分けは各ハッチのバルブ操作をする事により行うので、誤ると油が溢れる。また、安全のため、荷卸しの際は、落ちタバコや静電気に細心の注意を払う必要がある。荷卸し作業終了時に、ハッチ内残油と地下タンク在庫を検量し、荷卸し確認チェックリストにガソリンスタンド等立ち会い者の確認を受ける。最後に、バルブ、コックが全て閉まっているかを確認する。 なお、粉粒体を運ぶバルク車等の場合は、粉粒体を降ろす時は空気の圧力を使ってホースから出す等積み込み及び荷卸しの手続きは危険物の移送とは異なる。 配送終了後は車両を回送して帰社するが、終業に当たっては、車両を清掃、点検し、運行管理者へ配送状況、車両点検結果等の報告を行う。輸送伝票等を返納し、運転日報に必要事項を記載、翌日の配送予定を確認し終了する。 万が一運転中に交通事故、貨物事故が発生したときは、まず消防署、警察署に緊急通報をし、運行管理者に連絡し、指示を受けて適切な措置をとる。 ◇ よく使う道具、機材、情報技術等 タンクローリー
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仕事の内容
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入職に当たって、特に学歴は問われないが、タンクローリー車は大型車が多いため大型自動車運転免許が必要となる場合が多く、その他に車両総重量が750㎏を超える貨物トレーラー荷物車両を連結して移動する場合の運転では牽引免許も必要となる。また、引火性液体、毒物・劇物、高圧ガス等移送の取扱物により、危険物取扱者(乙種第四類、丙種等)、毒物劇物取扱責任者、高圧ガス製造保安責任者又は高圧ガス移動監視者等の資格が必要となる。 新卒で入社する場合もあるが、中途採用も多い。ハローワークや求人広告での求人を通じて採用された後、一定期間を試用または見習い期間として過ごし、訓練を受ける。 初任運転者に対しては国土交通省告示により、実際にトラックに乗っての指導と、積荷の搭載方法や日常点検の方法、トラックの構造の特性などの座学の研修が義務付けられている。職場の各管理者、作業指揮者などから実務知識、就業規則などの講習、接客や作業の技術などを学んだ後、運転業務に従事する。 中途採用の場合でも、各種免許資格の取得を支援する企業も多く、入社後に大型免許、牽引免許や危険物取扱者等の資格を取得する場合もある。 運転業務の経験を積んだ後、内勤職となり、運行管理者(国家資格)の資格を取得してドライバーを管理する配車担当となり、その後、管理者から所長等管理職となる場合もある。 基本的に運転には集中力が必要でこれを持続できること、同時に環境の異変に対しこれを直ちに認識し、迅速・的確な対応をとることが必要である。社会に不可欠なインフラを支える実感を得られる魅力がある一方、危険物を取り扱うので安全面の配慮の徹底と職務遂行の正確性が勤務姿勢に特に求められる。 また、夜間運行の場合もあり、健康管理が大切となる。配送先との接遇の機会もあるので、清潔な服装、真摯な応対などに心がける必要がある。
関連資格
この職業で実際に働いている人が多いと感じる『学歴』を表しています。必須とは限りませんので、詳細は「就業するには」を確認してください。
勤務先は石油精製会社等から委託を受けた運送会社が多く、全国に幅広く広がっている。 労働条件は、勤務先の規定に従うが、正社員としての採用が多く、給料は多くの会社が月給制となっており、給料のうち基本給以外の資格手当や運行手当、時間外手当などの変動給の占める割合が比較的大きい。週休2日制を導入している企業も多い。 24時間営業のガソリンスタンド等の場合、輸送コストを考え夜間配送したほうが効率的な場合は、1台のタンクローリーを2人の交代(シフト制)制で勤務しているところもある。出勤時間は毎日同時刻ではなく、一般的に配送先の都合により早朝の場合が多い。退社時間は、配送先の場所、件数、道路事情に左右される。 全国のタンクローリー車数は、2018年3月末時点で、各車種計(非危険物の粉粒体運搬車ローリーを除く)で約6,800台あり、タンクローリー乗務員も同程度以上就業しているものと推測される。(*1) トラック乗務員全体では多くが男性であり、女性の割合は3.5%程度である。年齢層では、トラック運送事業を含む自動車輸送業界で働く人は50歳~60歳以上が全体の約45%となっており、高齢化が進んでいる。(*2) ただし、タンクローリー車の場合は他のトラック運転と異なり、荷積み荷卸しの際に手で持ち上げるのはそれ程重くない給油用ホースであるので、肉体的な負担は少なく、荷卸しのための待機時間も比較的少ない。従って運転業務以外の附帯業務に高齢者でも充分に対応可能であり、高齢者のタンクローリー乗務員を活用している事業所も多くある。また、女性の活躍機会も増えている。 なお、液体・高圧ガス運搬の場合、灯油等燃料が多く消費される冬場が繁忙期であり、夏期には余裕ができるのが一般的である。 深刻な乗務員不足の改善を目指して、国土交通省と厚生労働省共同で、トラック運送事業者の労働環境の改善等に取り組んでいる。 (*1)資源エネルギー庁【石油設備調査2018】から (*2)公益社団法人全日本トラック協会【日本のトラック輸送産業現状と課題2022】 「少子・高齢化の進展と若年労働不足」から
タンクローリー乗務員が属する主な職業分類(厚生労働省編職業分類の「その他の貨物自動車運転の職業」等)に対応する統計情報です。
※「統計データ」は、必ずしもその職業のみの統計データを表しているものではありません。各統計データで使用されている職業分類の詳細については職業分類対応表をご覧ください。
※各統計データに関する留意事項についてはこちらをご覧ください。
※関連団体等が別途就業者数等を公表している場合は「労働条件の特徴」本文中に記載されていることがあります。
就業者統計データ
就業者数
(出典:令和2年国勢調査の結果を加工して作成)
労働時間
(出典:令和5年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
賃金(年収)
(出典:令和5年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
年齢
(出典:令和5年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
賃金分布(グラフ)※全国のみ
(出典:令和5年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
ハローワーク求人統計データ
求人賃金(月額)
(令和5年度)
有効求人倍率
(令和5年度)
この職業で実際に働いている人が多いと感じる『就業形態』を表しています。
タンクローリー乗務員が属する産業(運輸業,郵便業)の産業別景況動向をグラフで見ることができます。(産業全体の景況動向はこちら)
グラフの数値が大きいほど、労働者が不足と判断している。
法人企業景気予測 (出典:令和6年 内閣府・財務省「法人企業景気予測調査(BSI)」)
グラフの数値が大きいほど、景気が上昇と予測している。
残業時間(時間外労働時間)や有給休暇取得率、平均年齢など、企業の様々な職場情報を検索・比較したい方はこちら(クリックすると別サイトのしょくばらぼへ移り、 タンクローリー乗務員が属する産業(運輸業,郵便業)で検索ができます)
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