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金属材料、機械の部品、金属の溶接部、構造物などを分解したり破壊したりせずにその内部や表面に欠陥などがないかを調べる。 非破壊検査の検査対象となるのは、原子力発電所、大型プラント、鉄道、航空機、ビル、橋などの大型建造物から、工業製品や各種部品に至るまで多岐にわたる。検査物の種類や検査目的に応じて、放射線や超音波、磁気などを使って、内部の傷の有無、安全性、補修の要否などを判定する。非破壊検査は、あくまでも間接的な検査方法であるため、ある程度の不確実性は避けられないが、検査対象物の製造方法や素材、使われ方、使用期間などから、存在する可能性のある傷を予測し、もっとも適切な検査方法を組み合わせて使用することで判断の確実性を高めている。 製造業の場合、素材から加工過程の中間生産物、最終製品の検査に非破壊検査を用いて不良品を出荷しないようにしている。また製造設備の保守検査に適用することで事故を防ぎ、長く安全に設備を使用できるようにする。これにより無駄な廃棄物を減らして資源の有効活用につなげている。 仕事内容を最近検査需要が増大しているコンクリート構造物の非破壊検査を例にみると、まず目視で外観や形状を検査して、表面欠陥を検出する。3~5年ごとに定期点検をしていれば表面の劣化状況を時系列で追うことができ、補修すべき段階に来たかどうかを早期に判断できる。コンクリートの強度を調べるには、リバウンドハンマーで表面を叩いて、返ってきた衝撃(反発度)を計測する。外観検査では見えない溶接部や構造物内部の傷の有無、場所、大きさや形状を調べるには超音波試験や放射線透過試験を行う。放射線透過試験では透過能力の高い放射線を照射すると傷や欠落がある部分は抵抗が少ないので放射線の透過量が多くなる。透過した放射線をX線フィルムに感光させると透過量の多い部分ほど黒く移るので、その濃度差から内部の傷の状態が分かる。このように検査する箇所や調べる項目に応じて適切な検査方法を駆使して試験を行う。 試験が終了したら事務所に戻り、試験データをまとめて、検査、評価を行い、最終的に報告書にまとめて、提出する。 防護管理(安全使用のための防護)、セキュリティ管理(機器の盗難防止など)など検査の事後処理も重要である。検査は、現場にでかけて行うだけではなく、持ち込まれた検査対象を検査室で試験、検査することもある。 ◇ よく使う道具、機材、情報技術等 リバウンドハンマー、作業中の保護具(ヘルメット、ゴーグル、グローブ、安全靴等)
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タスク(職業に含まれるこまかな仕事)
仕事の内容
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入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされないが、新卒の採用では、大学や大学院の理工系学部卒、工業高専、工業高校の電気科や機械科卒などがほとんどである。中途採用の場合は同業者間の移動が多い。 就職先としては、検査会社や試験機関のほか、自社内に非破壊検査部門をもっているメーカーや建設業、鉱業の会社などである。 入職後は、社内研修やOJTを通して実務経験を積む。関連資格としては民間資格の「非破壊検査技術者」資格がある。この資格は5年ごとに更新する必要があり、さらに10年ごとに再認証試験を受けなければならない。このほかにも、例えば放射性物質を扱う場合には国家資格の「放射線取扱主任者」の資格が必要であるなど、検査手法ごとに必要な資格がある。資格取得にあたっては、入職後に取得支援制度のある会社が多い。関係団体による研修・講習の機会がある。 論文等で最新情報を収集したり、関連書籍を読んで勉強する姿勢が求められる。作業を正確に継続する緻密さ、根気強さが重要である。
この職業で実際に働いている人が多いと感じる『学歴』を表しています。必須とは限りませんので、詳細は「就業するには」を確認してください。
勤務先は、非破壊検査会社、試験機関、メーカーや建設業、鉱業の会社の非破壊検査部門である。主な職場となる検査会社等は全国に分布している。 ほとんどが正社員で年齢は幅広い。就業者は男性が大半を占めるが、女性も増えてきている。 賃金、労働時間等労働条件は勤務先の規定によるが、月給制がほとんどである。 非破壊検査業務は一般的に予約制なので特に繁忙期はない。石油プラントや原子力発電所など大型施設の検査を行う場合は、現地に2~3カ月滞在することもある。 日本で非破壊検査が普及したのは、戦後、造船の溶接などの検査に採用されたのがきっかけと言われている。現在では,インフラなど高度成長期に建設された設備が老朽化する時期を迎えており、それに伴う調査、マンションなどの建築構造物の調査など要求が多様化している。今後はより生活に密着した分野にも非破壊検査のニーズは拡大していくと思われる。さらに、非破壊検査と破壊力学を組み合わせた寿命評価もある。これまでのように欠陥検出だけに留まらず、溶接部の劣化診断など材料評価にも応用範囲が広がっていくと予想される。非破壊検査が適用できない分野、適用できても十分な成果が得られない分野は未だ多く、検査技術の高精度化、新たな検査技術や機器の開発、危険で人間が立ち入りできない場所で検査を実施できる自動装置の開発など、さらなる発展が期待されている。
非破壊検査技術者が属する主な職業分類(厚生労働省編職業分類の「金属加工・溶接検査工」等)に対応する統計情報です。
※「統計データ」は、必ずしもその職業のみの統計データを表しているものではありません。各統計データで使用されている職業分類の詳細については職業分類対応表をご覧ください。
※各統計データに関する留意事項についてはこちらをご覧ください。
※関連団体等が別途就業者数等を公表している場合は「労働条件の特徴」本文中に記載されていることがあります。
就業者統計データ
就業者数
(出典:令和2年国勢調査の結果を加工して作成)
労働時間
(出典:令和5年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
賃金(年収)
(出典:令和5年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
年齢
(出典:令和5年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
賃金分布(グラフ)※全国のみ
(出典:令和5年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)
ハローワーク求人統計データ
求人賃金(月額)
(令和5年度)
有効求人倍率
(令和5年度)
この職業で実際に働いている人が多いと感じる『就業形態』を表しています。
非破壊検査技術者が属する産業(製造業、建設業)の産業別景況動向をグラフで見ることができます。(産業全体の景況動向はこちら)
グラフの数値が大きいほど、労働者が不足と判断している。
法人企業景気予測 (出典:令和6年 内閣府・財務省「法人企業景気予測調査(BSI)」)
グラフの数値が大きいほど、景気が上昇と予測している。
残業時間(時間外労働時間)や有給休暇取得率、平均年齢など、企業の様々な職場情報を検索・比較したい方はこちら(クリックすると別サイトのしょくばらぼへ移り、 非破壊検査技術者が属する産業(製造業、建設業)で検索ができます)