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事例集

「都内スポーツメーカーの営業から、大自然広がる北海道で観光業 上野洋平さん」

上野洋平さん

1993年生まれ。秋田県の大学を卒業後、大手スポーツメーカーに就職し、営業として都内勤務。 その後、26歳の時に地域おこし協力隊制度を利用して北海道上川町へ移住。翌年、北海道上川町にある観光協会に就職し、地域の観光に関わる業務を行っている。

北海道への移住を決めるまで

―――大学卒業後、スポーツメーカーに就職されたそうですが、どのようなお仕事をされていたのですか?
就職先であるスポーツメーカーが展開する、ゴルフウェアブランドの海外営業をしていました。韓国や香港などのアジア圏にある支店に商品を卸していたんです。また店舗運営のサポートなども行っていました。
大学時代、外国語を学んでいて英語ができたのと、マカオ留学の経験もあって多少中国語も話せたんです。それもあって海外支店向けの営業に配属されたんだと思います。

―――前職を辞めて、北海道上川町への移住を決意されたきっかけはなんですか?
実家が農業に携わっていたこともあって、農業には関心があったんです。その思いが徐々に強くなって、ある日ふと農業関連の転職フェアに参加してみました。そこに、北海道上川町が出展していて、地域おこし協力隊という制度を知ったのがきっかけです。

3年間の任期中、仕事や住まいを町が斡旋してくれる制度で、これはいいなと。農業やスポーツに関心があったので、地域おこし協力隊の募集の中にあったアウトドアプロデューサーに応募しました。そこからは早かったです。話を聞いた翌月には退職、その次の月には北海道上川町の地に立っていました。

上野さんが移住を決めた北海道上川町

―――移住を決意した時点で、転職にどのようなビジョンを持っていましたか?
実を言うと、明確なビジョンを持っていたわけではないんです。また地域おこし協力隊という制度は、私のように将来何をしたいのかはっきり決まっていない人向けの制度だと思っています。
任期は3年。その期間中の仕事や住まいが保証されますから、そこで様々な体験や人との交流を通して、自分の将来を明確化させればいいんです。

私の場合、アウトドアプロデューサーとして、コミュニティスペースのある公民館での運営スタッフや、町として行っている冬のアクティビティ「犬ぞり体験」の手伝い、氷瀑まつりというイベント運営に携わりました。

犬ぞり体験(画像左)、氷瀑まつり(画像右)

また、町営キャンプ場にツリーハウスの建築をしたんですよ。この時は企画立案から、クラウドファンディングでの資金調達、実際の建築作業まで全てに関わりました。そうした経験を通して、この町を他の地域の方にも知ってもらいたいという想いが強くなったんです。

当時上野さんの面接を担当された、北海道上川町役場の三谷様にお話を伺いました。

―――地域おこし協力隊に参加される方はどのような方が多いのですか?
上川町は大雪山連峰という国立公園に指定されているほど自然にあふれた地域です。そのため、自然やアウトドアに興味のある方が応募されることが多いです。

―――上野さんはどのような方でしたか?
上野さんは、いつもお客様が何を求めているかという目線に立ちながら、各種事業に従事しているんですよ。
先ほど話に上がったツリーハウスも、当町のキャンプ場がファミリー層のお客様が多いという気付きから、子どもが体験できるようなワークショップや森との関わりを作り出すという事業を企画立案し、実行に移しました。結果として、多くのお客様に受け入れられたことはもちろんのこと、なにより彼のここぞという観察力・実行力は、これからの行政職員が持つべきスキルであると気づかされました。

上野さんが企画から建築まで携わったツリーハウス

北海道上川町への定住を決め、観光協会に就職

―――地域おこし協力隊で1年活動。その後、上川町にある観光協会に就職されたのはなぜですか?
先ほどお話した、観光施設やイベントに参加したことで、町の観光業にかかわっていきたいと思ったんです。
地域おこし協力隊の任期は3年あるので、その任期が終了してからでもいいのですが、元々せっかちな性格ということもあり、より自分のやりたいことを追求できるようにと観光協会への就職を決めました。

実際に上野さんを採用した観光協会の岩本様にお話を伺いました。

―――まず、観光協会の仕事を教えてください。
上川町にある温泉街、層雲峡における観光案内、氷瀑まつりなどイベントの運営業務などです。町からの受託でパークゴルフ場、キャンプ場、スキー場の管理・運営などもやっています。広報的な役割から、イベント会場の設営という実務など業務領域は幅広いです。

―――上野さんの採用を決めた理由はなんでしょうか?
まず、彼が地域おこし協力隊時代に観光協会の仕事を手伝ってくれていたので、その人柄は以前から知っていました。
そのうえで、彼の持つコミュニケーションスキルと語学力が採用の決め手でした。
観光協会の仕事は地元商工会や役場、観光客、様々な人と関わる仕事です。元々営業をされていたので、そういったコミュニケーション能力は問題ないと思ったんです。
また、新型コロナウイルス流行前は、海外からの観光客がとても多く、台湾からの団体客が来るときなんかは、観光客のほどんどが外国からのお客様という日もあるくらい。
彼が英語・中国語に堪能ということで、そういった海外からのお客様の対応にもピッタリだと思ったんです。
海外からの観光客の受け入れも徐々に緩和されつつあるので、これからとても期待をしています。

観光協会という職場での日々の業務

―――1日の勤務時間や業務内容を教えてください

業務中の上野さん

勤務時間は8:30~17:30で休憩が1時間。基本的に残業はありません。休みもカレンダー通りですが、祭りなどのイベント時には休日出勤することがあります。
業務内容は日によってまちまちなのですが、冬に行われる氷瀑まつりという祭りの期間は、会場につきっきりとなります。
今は、今年から始める商店街でランタンを飛ばすイベントの準備に追われていますね。

―――今のお仕事で、前職で身につけた知識やスキルで役に立っているものはありますか?
前職で海外店舗のオープンの手伝いをしていました。今やっているイベント開催準備と通じる部分があり、どのような流れで工程を組むべきかなど順序だてて計画する思考は、役に立っていると思います。

氷瀑まつりの作業メンバー、観光・農業・林業で働く様々な人が協力し合って行う。

また、営業職で色々な人と関わってきましたから、役場や地元商店の方とのコミュニケーションで苦労はしていません。今後、海外からの観光客が来るようになれば、外国語スキルも生かして仕事をしていきたいです。

異業種転職や地方転職を考える方に向けて

―――異業種・地方転職するにあたって、戸惑いや苦労したことはありましたか?
まず、地方に転職することに関しては、抵抗はなかったです。
とはいえ、知り合いがいない土地だったので、当初不安はありました。でも、同じ地域おこし協力隊のメンバーは同年代が多くすぐなじめましたし、観光協会の仕事を知ったうえで就職したので、ミスマッチなども起きませんでした。

―――これから異業種転職や地方転職を考えている人に向けて、アドバイスはありますか?
私は出身が田舎で、地方や雪国での暮らしがどんなものか知っていましたので、一度も現地を確認することなく地方転職をしました。
都会暮らししか知らない人だったら、やはり事前に短期滞在してみることをお勧めします。冬場の雪下ろしなど、慣れていない人には大変ですから。
異業種に転職することに関しては、やりたいことがあるならどんどんチャレンジしてみていいと思います。業種や職種が違っても、これまでのスキルや経験が役に立たないという事はありません。興味があれば怖がらずに行動してみるべきだと思います。

job tagは、転職を考えている人の背中をおしてくれるツール

―――本サイトに関する感想やご意見があれば教えてください。
「職業興味検査」を体験させていただきました。私のスコアで最も高かったのは、「企画・立案したり、組織の運営や経営等の仕事や活動が好き」という項目で、「グループや組織を運営したり、企画・実行していくような仕事や活動へ興味がある」と分析されています。まさにその通りで、キャンプ場にツリーハウスを建築したことなど自分の行動と当てはまっていると思います。

私の場合は、農業フェアで偶然知った上川町の制度がきっかけでしたが、今の仕事とは違う別の業界で活躍したい。でも自分に何が向いているのか分からないと悩んでいる方は、こういったツールを使って、自分の興味に合う職業は何なのか。自分のスキルが役立つ職業は何なのか。調べてみるといいと思います。きっと背中を押してくれると思いますよ。